馬頭観世音菩薩はなぜ、馬なのか。
様々な人から聞かれるので色々と調べてみました。
目次
馬頭観世音菩薩はなぜ馬か
馬じゃなく豚でも猪でも良かったのでは?
と思いますよね。
なぜ馬なのか
よく言われるのは、馬が草を食べるように、我々の煩悩を食い尽くし、災難から救ってくださるから
そして、馬のように早く走り助けに来てくれる
と言われます。
私もこの説明は何度もさせてもらいましたが、馬である必要性に欠けます。
猪は馬よりも食欲があり、なんでも食べますし、猪突猛進という言葉があるように、走るのも早いですね。
有力はヒンドゥー教の最高神
なぜ馬か、というのはやはり生活に密着していた動物だったから、というのが浮上しますね。
ですがそれは日本ではなく、インドでですね。
インドでは四聖獣(獅子、象、牛、馬)として、馬も神聖視されていたそうです。
6世紀頃にインド周辺で、仏教やジャイナ教によって衰退化していたバラモン教が、民間信仰や仏教を取り込みながらヒンドゥー教へと発展したと言われています。
そのヒンドゥー教には、ハヤグリーヴァという馬の頭を持った神様がいます。
ハヤグリーヴァは、ヒンドゥー教の最高神のビィシュヌ神が、馬の頭に変化して悪魔を倒したと時に生まれましたと言われています。
また、同じヒンドゥー教の神話ですが、ブラフマー(梵天)が倒した悪魔だったとも言われています。そこから転じて上記のビィシュヌ神の化身になったとも言われています。
なぜハヤグリーヴァが馬で悪魔とされたか、は不明ですが勝手な予想をすると、
インドでは牛が最も神聖な生き物とされていますが、後にユーラシア中部から伝わってきて、姿が牛に似ているから或いは馬の性格、牛と比べると怒りっぽいからだと予想します。
が、それだと四聖獣に含まれていた理由と離れてしまいますね。
チベット仏教も関わる
7世紀の前半にチベットが統一され、仏教に帰依したと言われています。
チベット仏教には馬の頭をした「タムディン」「ハヤーグリハ」と呼ばれているそうです。
チベット仏教では、ヒンドゥー教の時の悪魔として伝わったのか、忿怒尊の一柱として数えられています。ここからも激しい形相をしています。
馬頭星雲という説
これまではあくまでも、
なぜ馬か?
という確信には弱いとも思います。
実はもう一つ、個人的に好きな馬である理由があります。
それが、宇宙絡みの説です。
冬を代表するオリオン座にある暗黒星雲の中に馬頭星雲という、馬の頭の形に似た星雲があります。
馬頭星雲自体は、それ自体は光を発しない暗黒星雲です。
なので、宇宙に溶け込むようにして見えないのですが、背後に赤く輝く星雲があったので、馬の形が宇宙に浮かび上がり、影絵の様に見る事ができます。
古代の人たちは天文学や数学にとても優れていたので馬頭星雲の事を知っててもなんか納得しますね。
しかし、星座も含めると動物は沢山ありますが、その中でなぜ馬頭星雲かという疑問は消えませんね(笑)
強いて言うなら、星雲で身近な動物が馬だった。ということでしょうか。
この馬頭星雲が理由ならロマンチックですね。
宇宙にずっといる馬が地球に降り立って、ヒンドゥー教で最高神に倒され、チベット仏教や日本仏教では憤怒の形相で、我々衆生の事を守ってくれている愛のある菩薩となる。
或いは、人類がやっている事(環境破壊など)に怒っている宇宙からの使者。
あ、最後の好きですね。宇宙からの使者説。
馬頭観世音菩薩の由来は不明がロマン
色々調べながら書いたので支離滅裂なとこもあると思いますが、
ヒンドゥー教、チベット仏教、日本仏教と辿ってしまいました。
仏教の伝来や、他の土着宗教との融合などがあるので辿っていくのはとても難しいです。
おそらく今後も口頭で説明させてもらう場合は、冒頭の
馬が草を食べるように、我々の煩悩を食い尽くし、災難から救ってくださるから
というのを使わせてもらうと思います。
が、心では馬頭星雲を推していると思ってください。宇宙からの使者です。